■位相監視システム(位相比較器)
本器は、2つの同一周波数信号間の位相と振幅を高精度で測定・監視する装置です。
測定結果は正面パネルに表示するとともに、上位制御システムに出力します。
モニタ信号を12MHzの中間周波数にダウンコンバートし48MHzでサンプル(14bit-A/D変換)することでI,Q成分として位相情報を得ています。また、同時に振幅情報も監視できます。

■特徴
入力される各高周波信号は共通のマスタークロックに同期(位相ロック)している必要があります。

(1)測定する2つのモニタ信号『RF1』及び『RF2』と『LO信号』を入力します。入力された信号はそれぞれモニタ出力されます。

(2)入力LOから分周して48MHzのクロック信号を生成します。その際、分周の基準を外部から入力される12MHz(Ext.12MHz)に同期します。ただし、Ext.12MHzの入力が無い場合でも、LOを基準とした48MHzクロックが生成され、計測動作が可能です。

(3)2つの被測定信号を『LO信号』により中間周波数12MHz『IF1』にダウンコンバートします。この際、ローパスフィルタ等により、高調波成分は-60dBcより小さくなっています。

(4)計測誤差0.3%以下とするため、高周波信号のシグナルノイズ(S/N)比は、50dB以上の必要があります。これを満たすために、ダウンコンバータとしては、受動素子のミキサーではなく能動素子である乗算器を用いています。

(5)外部より入力されたトリガー信号(最大50Hz)のタイミングから、『IF1』・『IF2』を(2)の48MHzクロックでサンプルを開始します。サンプルは14bitのA/D変換器で行います。このように中間周波数『IF1』(12MHz)を位相90度毎にサンプル(A/D変換)することで、それぞれ『I(および-I)』・『Q(-Q)』成分とします。

(6)設定されたサンプル長でサンプル(A/D変換)し、『I』・『Q』成分それぞれで平均します。サンプル長(データ長)は、2ⁿ(n:0~16)で行います。正面パネルから設定します。

(7)上記(6)で平均化した14bitの『I』・『Q』成分(それぞれ『RF1』・『RF2』の計4データ)を、トリガ毎に外部に出力します。

(8)同様に(6)で得られた『I』・『Q』成分(平均)の値から、『RF1(IF1)』・『RF2(IF2)』それぞれの位相(0~360度)及び振幅値(0~8191)に変換し、またそれらの値から『RF2』を基準とした『RF1』の位相差および振幅比(dB)を求め、得られた位相・振幅情報を正面パネルに表示します。

■安定性能

(1)ミキサー出力(中間周波数12MHz、ローパスフィルタ等を含む)の温度特性は位相・振幅それぞれ0.1度/℃,0.1%/℃程度です。

(2)中間周波数12MHz(A/D変換前)の高調波成分は-60dBc以下です。

(3)平均後の計測誤差(フラツキ)は振幅・位相それぞれ±0.2%,±0.2度以下です。



型式番号 T074-1099A
入力信号
空洞モニタ信号1『RF1』 空洞モニタ信号2『RF2』
周波数 324MHz周波数 324MHz
入力インピーダンス 50Ω 入力インピーダンス 50Ω
入力レベル -10dBm~+20dBm 入力レベル -10dBm~+20dBm
入力コネクタ SMA-FAMELA 入力コネクタ SMA-FAMELA
LO信号 サンプルトリガ
周波数 312MHz 繰り返し 25Hzまたは50Hz
入力インピーダンス 50Ω 入力レベル 5V
入力レベル +10dBm±2dBm 入力インピーダンス 50Ω
入力コネクタ SMA-FAMELA 入力コネクタ BNC-FAMELA
Ext.12MHz
周波数 12MHz
入力インピーダンス ハイ・インピーダンス
入力レベル TTL
入力コネクタ BNC-FAMELA
出力信号
入出力のモニタ出力 測定値VME出力
出力信号 モニタ信号1,2,LO信号 出力信号 モニタ信号の各『I』,『Q』成分
A/D変換値14bitバイナリ
入出力インピーダンス 50Ω 出力コネクタ数 40pin×2(RF1およびRF2)
出力コネクタ SMA-FAMELA 出力方式 オープンコレクタ出力
+24V電源供給
出力コネクタ フラットケーブルコネクタ40pin×2
(J3432-P302VE相当品)
電源 AC100V±10% 50/60Hz
外観 19インチEIA標準ラックケース
寸法 480(W)×88.1(H)×450(D) (mm)